相続土地国庫帰属制度の却下要件(通路その他の他人の使用が予定される土地として政令で定める土地)として考えられる不動産登記法上の地目とは?

相続土地国庫帰属制度の却下要件(通路その他の他人の使用が予定される土地として政令で定める土地)として考えられる不動産登記法上の地目とは?
相続土地国庫帰属制度
 ~相続した土地を国に帰属させたいとき~

事例紹介

・相続土地国庫帰属制度の承認申請書作成代行

茨城県 (事務所ホームページのお問い合わせフォームからご依頼いただいた事例。)
別荘地 (事務所ホームページを見て電話された方からご依頼いただいた事例。)

・仮杭設置及び図面作成

佐賀県 (登記記録の地目:山林、現況地目:雑種地。境界標なし、対象地及び隣接地は全て更地。)

佐賀県 (地目:宅地。境界標一部あり、隣接地の一部に建物がある土地。

報酬額(税込

・相続土地国庫帰属制度の承認申請書作成代行 30万円~
詳細は、「相続土地国庫帰属制度の承認申請書作成代行費用はいくらですか?」をご覧ください。
※審査手数料(1筆当たり14,000円)及び負担金(1筆当たり20万円が基準)が別途発生します。

・仮杭設置及び図面作成 15万円~
詳細は、「相続土地国庫帰属制度業務の「仮杭設置及び図面作成」を
土地家屋調査士にお願いした場合の費用はいくらですか?
」をご覧ください。

ご依頼の流れはこちらです。
(ご相談→概算御見積金額のご提示→正式御見積金額のご提示→業務着手)

相続土地国庫帰属制度の却下要件(通路その他の他人の使用が予定される土地として政令で定める土地)として
考えられる不動産登記法上の地目とは?

1 相続土地国庫帰属制度の却下要件に係る根拠法令とは?

2 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地とは?

3 墓地、埋葬等に関する法律第2条第5項に規定する墓地とは?

4 宗教法人法第3条に規定する境内地とは?

5 「通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地」として考えられる不動産登記法上の地目は?

6 他人の使用が予定される土地が却下要件である理由は?

1 相続土地国庫帰属制度の却下要件に係る根拠法令とは?

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)(以下「法」といいます。)第2条第3項により、相続土地国庫帰属制度の却下要件について定められています。詳細は法務省ホームページ「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」をご覧ください。該当部分の条文は以下のとおりです。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律
3 承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。
一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

2 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地とは?

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和4年政令第316号)第2条により、通路その他の他人による使用が予定される土地が具体的にどういったものなのか定められています。該当部分の条文は以下のとおりです。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令
(承認申請をすることができない他人による使用が予定される土地)
第二条 法第2条3項第3号の政令で定める土地は、次に掲げる土地とする。
一 現に通路の用に供されている土地
二 墓地(墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条第5項に規定する墓地をいう。)内の土地
三 境内地(宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条に規定する境内地をいう。)
四 現に水道用地用悪水路又はため池の用に供されている土地

3 墓地、埋葬等に関する法律第2条第5項に規定する墓地とは?

墓地、埋葬等に関する法律第2条第5項で「墓地」についての定義があります。該当条文は以下のとおりです。

5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。

4 宗教法人法第3条に規定する境内地とは?

宗教法人法第3条で「境内地」についての定義があります。該当条文は以下のとおりです。
不動産登記法上の「境内地」の定義は宗教法人法第3条第2号及び第3号であるのに対し、宗教法人法上の「境内地」の定義は宗教法人法第2号から第7号までです。
相続土地国庫帰属制度上の「境内地」の定義は、宗教法人法上の「境内地」と同じ意味として捉えて問題ないと思われます。

宗教法人法
(境内建物及び境内地の定義)
第三条 この法律において「境内建物」とは、第1号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第2号から第7号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。

一 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)
二 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。)
三 参道として用いられる土地

四 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。)
五 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地
六 歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地
七 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地

5 「通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地」として考えられる不動産登記法上の地目は?

不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)第99条により、地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。とされています。

そして、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)第68条により、地目の判断は、土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的にわずかな差異の存するときでも、土地全体としての状況を観察して定めるものとするとされています。

以上を踏まえると、不動産登記事務取扱手続準則第12号、第13号、第15号、第16号、第17号及び第21号において、「墓地」「境内地」「水道用地」「用悪水路」「ため池」「公衆用道路」は通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地として考えられる不動産登記法上の地目として当てはまるのではないかと考えることができると思います。該当部分の条文は以下のとおりです。

(12)  墓地 人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
(13)  境内地 境内に属する土地であって、宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
(15)  水道用地 専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地
(16)  用悪水路 かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
(17)  ため池 耕地かんがい用の用水貯留池
(21)  公衆用道路 一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない。)

しかし、「境内地」については、不動産登記法と宗教法人法で定義が異なり、宗教法人法上の「境内地」の方が対象範囲が広いです。
そのため、宗教法人法上の「境内地」にある山林は、不動産登記法上の地目が「山林」である可能性が高いので、「山林」も通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地として考えられる不動産登記法上の地目として当てはまるのではないかと考えることができると思われます。
また、
また、不動産登記法の地目「池沼」は、地目「ため池」と同様に貯留地です。かんがい用水かどうかが「池沼」と「ため池」の判断基準となりますが、どちらも貯留地だと考えることができます。相続土地国庫帰属制度上、「ため池」がかんがいかどうかで区別していないので、「ため池」も通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定める土地として考えられる不動産登記法上の地目として当てはまるのではないかと考えることができると思われます。
「池沼」と「山林」については、不動産登記事務取扱手続準則第68条第8号及び第9号により定められています。該当部分は以下のとおりです。

(8) 池沼 かんがい用水でない水の貯留池
(9) 山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地

6 他人の使用が予定される土地が却下要件である理由は?

現在、土地所有者以外の者がその土地を使用しており、今後もその使用が見込まれる場合は、国と土地所有者以外の者との調整が必要となるため、相続土地国庫帰属制度の承認申請を行うことができないとされています。

  • 当事務所は、土地の筆界の専門家である土地家屋調査士に加え、農地転用相続土地国庫帰属制度業務の実績がある行政書士が専門知識と実体験を踏まえながら、ご相談を承ります。
  • 相続土地国庫帰属制度業務については、私が実際に受任した案件を通じて気づいたことや法務局に確認した内容をブログにも掲載しています。
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