合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、相続土地国庫帰属制度を活用できる場合について

合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、相続土地国庫帰属制度を活用できる場合について
相続土地国庫帰属制度
 ~相続した土地を国に帰属させたいとき~

事例紹介:佐賀県 仮杭設置及び図面作成
(登記記録の地目:山林、現況地目:雑種地。境界標なし、対象地及び隣接地は全て更地。)

事例紹介:佐賀県 仮杭設置及び図面作成
(地目:宅地。境界標一部あり、隣接地に建物がある土地。


報酬額(税込)
・相続土地国庫帰属制度の承認申請に係る書類一式作成 30万円~
※審査手数料(1筆当たり14,000円)及び負担金(1筆当たり20万円が基準)が別途発生します。
・仮杭設置及び図面作成 15万円~
・資料調査 5万円~


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(ご相談→概算御見積金額のご提示→正式御見積金額のご提示→業務着手)
合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、
相続土地国庫帰属制度を活用できる場合について

1 相続土地国庫帰属制度の申請人の根拠法令について

2 相続土地国庫帰属制度の申請人について

3 合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、相続土地国庫帰属制度を活用できる?

4 合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、相続土地国庫帰属制度を活用できる場合について

1 相続土地国庫帰属制度の申請人の根拠法令について

 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第2条第1項及び第2項にて、相続土地国庫帰属制度の申請人の要件が記載されています。
 第2条第1項及び第2項において、「相続等」と記載されていますが、第1条で「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)」と略称規定があります。
 したがって、この法律において「相続等」とは、「相続又は相続人に対する遺贈」であると定められていることになります。

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。

第二章 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続

(承認申請)
第二条 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者に限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。
2 土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。この場合においては、同項の規定にかかわらず、その有する共有持分の全部を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部又は一部を取得した共有者と共同して、承認申請をすることができる。

2 相続土地国庫帰属制度の申請人について

1 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権を取得した人
  まず、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第2条第1項により、相続等により土地の所有権を取得した人は、相続土地国庫帰属制度の申請人の要件に当てはまることが確認できます。

2 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権の一部(共有持分)を取得した人
  同じく第2条第1項により、相続等により土地の所有権の一部(共有持分)を取得した人であっても、相続土地国庫帰属制度の申請人の要件に当てはまることが確認できます。
  ただし、第2条第2項により、共有者の全員が共同して申請を行う必要があります。
  また、共有持分を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分を取得した共有者がいるときは、共有者の全員が申請して相続土地国庫帰属制度を活用することができます。
法務省ホームページ「https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html」から引用したものです。
法務省ホームページ「https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html」から引用したものです。
※相続土地国庫帰属制度開始前に相続等により取得した土地であっても申請人となることができます。

3 合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、相続土地国庫帰属制度を活用できる?

 当事務所で受任している案件の土地が複数あり、相続土地国庫帰属制度の承認申請をする前に合筆登記をするかどうか検討していたときにこの疑問が湧きました。
 土地合筆登記とは、数筆の土地を合筆して一筆の土地とする登記です。土地分筆登記と異なり、土地境界確定測量は必須ではありません。登記完了後に登記識別情報が発行されます。 
 条文や法務省ホームページを確認しましたが、「合筆登記前の一部の土地を相続等で取得した土地」に関し、相続土地国庫帰属制度を活用できるのかどうかについては、本事例が具体例として載っていないので、条文から推測して法務局へ質問しました。
 私は以下の2パターンで考えました。
1 「合筆登記前の一部の土地を相続等で取得した土地」と「合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地」において、合筆登記後であれば第2条第1項の「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権の一部を取得した人」と相続土地国庫帰属制度の申請人の要件に当てはまると考えることができる。
  また、相続土地国庫帰属制度により所有者不明土地の抑制を図ることが法律の制定目的であることが第1条により確認することができるので、立法趣旨からしてもこの事例は申請人の要件に当てはまると考えることが妥当である。
2 合筆登記前の全ての土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地の場合は、合筆登記後であっても第2条第1項の「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権の一部を取得した人」という相続土地国庫帰属制度の要件に当てはまらない。

4 合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地であっても、相続土地国庫帰属制度を活用できる場合について

法務局へ質問したところ、私の予想通りの解答でした。
1 「合筆登記前の一部の土地を相続等で取得した土地」と「合筆登記前の一部の土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地」において、合筆後であれば相続土地国庫帰属制度を活用できる。
2 合筆前の全ての土地を相続等以外(売買・贈与等)で取得した土地の場合は、合筆後であっても相続土地国庫帰属制度を活用することはできない。

「売買・贈与等で取得した土地」と「相続等で取得した土地」を合筆すれば、合筆登記後であれば相続土地国庫帰属制度を活用できるという裏付けについて、インターネットや書籍で調べてみましたが、そういった事例を検討したものを見つけることができませんでした。
 そこで、自分で条文から推測して法務局へ質問し、この事例の場合は相続土地国庫帰属制度を活用できることを確認しました。

 ※土地の所在する法務局によっては、別の解答が出される可能性もあり得ると思うので、合筆登記をする前に法務局へ相談をしておいた方がよいと思います。
 全国の法務局・地方法務局の本局で相談します。
 土地が遠方にある場合などは、お近くの法務局・地方法務局の本局でも相談ができます。
 土地所有者本人だけではなく、家族や親族の方が相談することもできます。
 ただし、相談者の方と関係がない土地の相談などには応じられません。
 詳細は、「相続土地国庫帰属制度の法務局相談の予約方法(ホームページ、電話、窓口)について」及び法務省ホームページ「令和5年2月22日から相続土地国庫帰属制度の相談対応を開始します」をご覧ください。

当事務所では、相続土地国庫帰属制度業務の実績がある行政書士に加え、土地の筆界の専門家である土地家屋調査士が専門知識と実体験を踏まえながら、ご相談を承ります。
したがって、本事例のような場合であっても、土地合筆登記と相続土地国庫帰属制度業務の両方を当事務所で受任することができます。
さらに、「遠方に住んでいて手放したい」「土地の管理の負担が大きい」といった理由により、相続した土地を手放したいといった相続土地国庫帰属制度に関するお問い合わせが増えていることを踏まえ、所有者不明土地の予防に貢献できるように全国対応いたします。
まずはお気軽にご相談ください。
※土地家屋調査士法第68条第1項の規定により、土地家屋調査士ではない者が他人の依頼を受けて「土地合筆登記」を業として行うことができないとされています。

  • 当事務所は、土地の筆界の専門家である土地家屋調査士に加え、農地転用相続土地国庫帰属制度業務の実績がある行政書士が専門知識と実体験を踏まえながら、ご相談を承ります。
  • 相続土地国庫帰属制度業務については、私が実際に受任した案件を通じて気づいたことや法務局に確認した内容をブログにも掲載しています。
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