【事例紹介】千葉県市川市 建物表題登記 未登記建物を遺産分割協議書により法定相続人の1人が単独で相続し、屋根葺き替え工事による構造変更がある事例
- 事件名 建物表題登記
- 所在 千葉県市川市
- 申請人 法定相続人全員が合意した遺産分割協議書により未登記建物を単独で相続した者
- 構造 屋根葺き替え工事により「木造かわらぶき2階建」から「木造合金メッキ鋼板ぶき2階建」へ
- 業務期間 約4ヶ月
事務所ホームページの問い合わせフォームから建物表題登記をご依頼いただきました。
相続税申告が必要かもしれないとのことで、依頼者の方に税理士を紹介し、当該税理士と一緒に相談を受けました。
建物表題登記とは、登記されていない建物について、初めて登記記録の表題部を開設し、その物理的状況を明らかにする登記です。建物が新築、改築等により建築され登記すべき建物が生じた場合や建物が既に存在しているのに未だにその登記がされていない場合は、建物表題登記を申請することになります。
法務局や官公庁の資料(公図、登記事項証明書、地積測量図、固定資産評価証明書等)を調査し、建物の存する所在地番を判断します。
所有権証明情報により、所有者を判断します。所有権証明情報となる具体例は次のとおりです。
① 建築基準法に基づく確認済証。
② 建築基準法に基づく検査済証。
③ 工事完了引渡証明書。証明書の真実性を担保するために、印鑑証明書を添付し、工事請負人が法人の場合は、その法人の会社法人等番号もあわせて提供します。
④ 固定資産税の納付証明書
⑤ 相続証明書(遺産分割協議書など)
⑥ 建築主事の行政証明書
「建築台帳記載事項証明書」などと呼ばれるものであって、建築確認を受けた建築物の主要な内容を証明書として取得することができます。確認済証、検査済証を紛失した場合などに用いられます。
⑦ 火災保険加入証書
今回は、リフォーム工事に関する工事請負契約書により、屋根葺き替え工事が行われていることを確認しました。
屋根葺き替え工事により、「木造かわらぶき2階建」から「木造合金メッキ鋼板ぶき2階建」へ構造変更していることを確認しました。
構造変更日については、当該契約に基づく金額を全額支払ったことを確認できる領収書などがあれば、その日付を構造変更日とすることができると考えることができると思います。
また、建物の存する所在地番に別の建物の登記記録が残っていて、当該建物が既に取り壊し済みであるような場合は建物滅失登記についての調査も行います。
建物滅失登記とは、建物が消失、取壊し等により滅失した場合に、その建物の登記記録を閉鎖するためにする登記です。
今回は、資料調査の結果、未登記建物の新築前に同じ敷地に建っていた建物(既に取り壊し済み)の登記記録が残っていることが分かったので、建物滅失登記もご依頼いただきました。
「定着性」「外気分断性」「用途性」「取引性」などから登記できる建物の要件を満たしているかどうか調査します。
資料調査及び現地調査の結果から、建物の「種類」「構造」「屋根」を判断します。
建物の各部分の測定結果から、床面積算定の区画及び参入・不算入部分を判断し、床面積を算定します。
遺産分割協議書がない場合は、法定相続人全員が未登記建物を相続することになります。
法定相続人全員が合意した遺産分割協議書により、法定相続人の1人が単独で未登記建物を相続することとなりました。
建物図面及び各階平面図を作成し、法務局へ建物表題登記申請をします。
登記申請時は、「所有権証明情報」「住所証明情報」「建物図面」「各階平面図」「代理権限証明情報」などを添付します。
申請人が個人の場合は「住民票の写し」「戸籍の附票の写し」が住所証明情報となります。
申請人が法人の場合は「登記事項証明書」などが住所証明情報となります。
代理人によって申請するときは、委任状などの「代理権限証明情報」が必要となります。
建物表題登記申請と同時期に、依頼者の方に紹介した税理士が相続税申告を代行しました。
法務局へ建物図面及び各階平面図が備え付けられます。
また、建物表題登記の内容が登記事項証明書に反映されているか確認します。
新築建物の建物表題登記であれば、所有権証明情報が揃っており、業務期間が1ヶ月程度であることが多いと思われます。
一方、未登記建物の建物表題登記の場合は、新築時から数十年経過しているため、所有権証明情報が揃っていないことが多いです。
また、原始所有者が既に亡くなっている場合は、原始所有者の出生から死亡までの戸籍なども調査する必要があります。
今回は、原始所有者が既に亡くなっていて、原始所有者の配偶者が亡くなったことに伴う遺産分割協議書作成でしたので、遺産分割協議書作成に係る戸籍調査とは別に原始所有者の出生から死亡までの戸籍を調査する必要がありました。
土地家屋調査士の使命は、不動産の状況を正確に登記記録に反映することによって不動産取引の安全の確保、国民の財産を明確にするといった極めて公共性の高いものです。
当事務所では、東京都・千葉県・埼玉県の土地・建物の調査・測量・登記(分筆・地目変更・合筆・表題・表題部変更・滅失)及び農地転用に関するご相談を承っています。
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