不動産登記において附属建物とはなんですか?
1 不動産登記において附属建物とはなんですか?
1 不動産登記において附属建物とはなんですか?
- 不動産登記において附属建物とはなんですか?
-
不動産登記法(平成16年法律第123号)第2条第23号により、附属建物とは「表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるもの」であると定められています。
つまり、附属建物は、主である建物と効用上一体として利用されている従たる建物であって、主である建物と一体のものとして登記されるものと考えることができると思います。
具体的には、
居宅に対する物置(居宅が主である建物で物置が附属建物)
店舗に対する倉庫(店舗が主である建物で倉庫が附属建物)
などが考えられます。
そして、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)第78条により、建物の個数の基準について記載されています。
不動産登記事務取扱手続準則
(建物の個数の基準)
第78条 効用上一体として利用される状態にある数棟の建物は、所有者の意思に反しない限り、1個の建物として取り扱うものとする。
2 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他の建物としての用途に供することができるものがある場合には、その各部分は、各別にこれを1個の建物として取り扱うものとする。ただし、所有者が同一であるときは、その所有者の意思に反しない限り、一棟の建物の全部又は隣接する数個の部分を1個の建物として取り扱うものとする。
3 数個の専有部分に通ずる廊下(例えば、アパートの各室に通ずる廊下)又は階段室、エレベーター室、屋上等建物の構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、各別に1個の建物として取り扱うことができない。
また、民法(明治29年法律第89号)第87条により、従物について定められています。
民法
(主物及び従物)
第87条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2 従物は、主物の処分に従う。例えば、居宅に対する物置の場合において、物置は居宅の従物と考えられ、居宅が売買されれば物置も一緒に売買されたと考えるのが妥当だと考えることができます。
一方、店舗に対する倉庫の場合は、主従の関係が認められない場合も考えられますが、一体として利用することで効用が高まるようなことも想定されます。そういった場合は、実務上、所有者の意思により附属建物として取り扱われています。
ただし、数棟の建物が、主従の関係がなく、効用上一体として利用される状態にない場合は、所有者の意思によっても、全体を1個の建物とすることはできないとされています(昭和52年7月26日不登第437号名古屋法務局民事行政部長照会昭和52年10月5日民三第5113号民事第三課長回答)。
附属建物がある建物に関し、建物表題登記がされた後は、法務局へ建物図面及び各階平面図が備え付けられます。
建物表題登記とは、登記されていない建物について、初めて登記記録の表題部を開設し、その物理的状況を明らかにする登記です。建物が新築、改築等により建築され登記すべき建物が生じた場合や建物が既に存在しているのに未だにその登記がされていない場合は、建物表題登記を申請することになります。
建物の種類、構造、床面積に変更(増築・減築)があった場合や附属建物を新築又は滅失させた場合は建物表題部変更登記を申請することとなります。
建物表題部変更登記とは、建物の物理的現況又は利用形態が変化した結果、登記されている建物の表題部の登記事項に変更が生じた場合に、これを現況に合致させるために変更する登記です。